扇風機回し港の丘に立つ | 道草 |
満開を天に差し出す黄バラかな | くらら |
壊れ家の日陰者へ春陽 | 苦椒醤 |
雨受けてシュパッと顔出すつつじかな | くらら |
虹立ちて神楽坂より児が下がる | 呼雲 |
できているわたしのからだたこ焼きで | くらら |
薔薇の散る音のいかにも大きかり | 虹鱒 |
日蝕やPut your hands up青蛙 | 呼雲 |
日食の間も私は薔薇である | 道草 |
パパさらうハンカチーフに港風 | 呼雲 |
熱湯に薔薇を落としつ覚束ず | 呼雲 |
キンコンカンメガネゾロゾロ空眺む | くらら |
風青しチャイナタウンの路地裏に | 呼雲 |
日蝕や今日なんだかイカリング | 苦椒醤 |
港町異人やさしく住みいたり | 虹鱒 |
蛾となりてチャイナタウンの夜に住む | 道草 |
目玉焼日蝕中に焼けてをり | 虹鱒 |
薫風の坂まで一本道ハマ湾景 | 歌葉 |
朝曇二度低下の天変地異 | 歌葉 |
日常や日蝕の非が陰りゆく | 苦椒醤 |
贈られし薔薇が時間を止めにけり | 道草 |
蝙蝠や坂を下りたくないときも | 道草 |
食道楽チャイニーズタウンの夏燕 | 歌葉 |
大輪のバラも蟲に憑かれておったか | 歌葉 |
大汗をかいて小さき中華の店 | 虹鱒 |
気がつけば坂の途中の夏の蝶 | 虹鱒 |
アーガイルのジャケツ羽織り冬の道小便バケツ溜まりに溜まる | 虹鱒 |
肩にのる陽差しの重き横浜の足音ばかりを遠く聞くなり | 呼雲 |
ベランダに派手な海パン干しをれど競馬新聞風呂でふやける | 道草 |
棹先の枕カバーの青さよりかの蒼空の青憎かりし | 呼雲 |
短歌のヴァージン鉛筆転がしながら歌う季語がどれだけ便利だったか | 道草 |
オレンジがみかんでないと知ったとき男子はじめて精液を出す | 虹鱒 |
左手にバケツを下げし茂吉翁苦し口元足元堅し | 呼雲 |
藤椅子にかけて半裸で眠りたる己が窓辺は誰に譲るか | 道草 |
酒盗人死人に盃あずけつつ仄白くなる女なるかも | 虹鱒 |
横浜・元町・中華街