第77回句会

2012年4月14日の句会です。
雲呼ぶや蕗の下にて力みおる呼雲
春の雪おもい集めし磐梯山まね
山桜一等賞をねらっておるまね
春の闇受話器越しの息遣い海老車
寝ても雲雀覚めても雲雀高速を行く道草
春の雨瀧の音高くなりにけり苦椒醤
青麦や倒れて伝える宙(そら)の声海老車
息災の報せはたんぽぽの絮(わた)を以って苦椒醤
菜の花の光を過去に届かせる道草
春の汗勤労婦人脱がされし海老車
虹鱒や虹をはじめて愛すなり虹鱒
急坂に小鬼のごとく蕨おりまね
春の雨眺めて乳をふくませる虹鱒
朧月白虎の子らを眺めおり海老車
老桜や酔いどれ相手に添い寝をし海老車
冴返りパステル色のやせ我慢苦椒醤
通話口鶯の声届けたいまね
トニックのにおいをかいだ春盗人虹鱒
都電にて行楽めぐり花めぐりまね
水温む源泉からもなお一層苦椒醤
雪解けに1年経つが傷しみてまね
山中に昔の声や蜃気楼道草
福島で静岡産のアスパラ食う苦椒醤
三人で一升買って花見せり虹鱒
春の雨花散らして地染めるまね
虫出づる我々は宇宙人である苦椒醤
焦燥を干し鰈に委ねる夜海老車
桜蝦もういいかいと蠢く夕海老車
長距離のバスで涙を涸らすなり虹鱒
天空をゆくモノレール春愁かね苦椒醤
古壷のつくも神らと蜂あそぶまね
卒業を伝える電話夕餉の前道草
福島に甘納豆をつまみ食う道草
某(なにがし)という魔物おり猫の恋苦椒醤
乳を与へお口を開けて春の空道草
春のせて北へと向かう新幹線海老車
囀や巻き舌の子の快ちよさ海老車
虫穴を出でてわたしは電話待つ虹鱒
桜もちおもいのほかしょっぱいまね
菜種梅雨バスは幾度も川を越え道草
春の川バスはゆっくり北目指すまね
春雨のバスに腕組みして眠る道草
FUKUSHIMAや春を大事に抱え込む虹鱒
拍手からさあ春のはじまりはじまり虹鱒
夜桜に死体の在り処を尋ねけり海老車
春は曙ロケット確認できぬなり虹鱒
春雨の湿らす山を見る座敷道草
マルモ食堂の会津ラーメン蕨入り道草
祝いであり弔いであるさくら花苦椒醤
蝶乱れ飛ぶこのままではまずい虹鱒