俳句披講 ― 第75回の句会で詠んだ句です。上野科学博物館 ―


第75回句会
| 剥製も腹がなったら鍋の中 | 常盤 |
| 初雪やふんわりまとう肉襦袢 | くらら |
| バレンタイン明けて並んだあまりもの | 地山 |
| 剥製の命見つめる春の雪 | 虹鱒 |
| 鳥雲に入りてレモンスカッシュをたのむ | 虹鱒 |
| 鼻つけば石鹸玉の奥に家まみえ | おかみ |
| むせる香にはだけぬシャツ春遅し | 頬白 |
| 猫の恋素知らぬ顔で窓閉める | 頬白 |
| 冴えかえる石の来歴目眩む | 具留斗 |
| 凍てもどり骨のありかを確める | 虹鱒 |
| きさらぎに原人の眼を覗き込む | 川獺 |
| 早春に磔刑(たっけい)の土竜(モグラ)何を見る | 具留斗 |
| 剥製を見る児幼気で虚ろ | おにかます |
| 春泥に指紋の如し靴のあと | 川獺 |
| 背負い子のこうべ垂れおり春北風(はるならい) | 常盤 |
| 甕から出たミイラ婦人の春着かな | 道草 |
| 猫の恋横目に我を見失い | おかみ |
| 百億の夜をめぐりてとかげ出づ | 川獺 |
| 焼海苔の口にはりつく二日酔い | 地山 |
| かちこちの尻解かすかな冬の風呂 | くらら |
| 剪定の踊り子たちの鎖骨生(な)り | 竹ノ子 |
| 湯たんぽの中に入りし浅き春 | 常盤 |
| 幼子の指に枝垂れる桜かな | 川獺 |
| 東洋と南米の尻風光る | おにかます |
| 夕東風や鯨の像の狂気の前 | 道草 |
| 閉ぢこめられ蝶健やかに耐へてをり | 道草 |
| もうすぐじゃ未だ人が踏み入れぬ春 | 竹ノ子 |
| この石が好きと答える春うごく | おにかます |
| いらっしゃいませ、お待たせしました、春でございます | 竹ノ子 |
| 春の泥化石もすこし話しけり | 虹鱒 |
| 六丁目男達のセーターが憎し | 竹ノ子 |
| 冬化粧アネモネ並ぶ花屋かな | くらら |
| 安住さん教えてくれた雨水です | 頬白 |
| 梅の花見えてなくなりし上野かな | 常盤 |
| 鷽の骨懐紙に隠すまことかな | 頬白 |
| 偉大なる象の顎骨(がくこつ)謝肉祭 | 地山 |
| 薫(くゆ)る香一秒一秒春を待つ | くらら |
| 祝いなく行先なく孕み雀 | おかみ |
| 列島の累積五億人朧 | 道草 |
| 博物館中生代の迷子かな | 道草 |
| 春陰や僕の俺を優しくつつめ | 虹鱒 |
| 乗り継ぎに失敗しては春寒し | 常盤 |
| 一枝梅や孤独を我に与えんと | 竹ノ子 |
| ぶらんこに惑わされては切り出せず | おかみ |
| 春浅し上野の球場ちらと見る | 具留斗 |
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上野科学博物館で句会をしました。