第75回句会

2012年02月19日の句会です。
上野科学博物館で句会をしました。
剥製も腹がなったら鍋の中常盤
初雪やふんわりまとう肉襦袢くらら
バレンタイン明けて並んだあまりもの地山
剥製の命見つめる春の雪虹鱒
鳥雲に入りてレモンスカッシュをたのむ虹鱒
鼻つけば石鹸玉の奥に家まみえおかみ
むせる香にはだけぬシャツ春遅し頬白
猫の恋素知らぬ顔で窓閉める頬白
冴えかえる石の来歴目眩む具留斗
凍てもどり骨のありかを確める虹鱒
きさらぎに原人の眼を覗き込む川獺
早春に磔刑(たっけい)の土竜(モグラ)何を見る具留斗
剥製を見る児幼気で虚ろおにかます
春泥に指紋の如し靴のあと川獺
背負い子のこうべ垂れおり春北風(はるならい)常盤
甕から出たミイラ婦人の春着かな道草
猫の恋横目に我を見失いおかみ
百億の夜をめぐりてとかげ出づ川獺
焼海苔の口にはりつく二日酔い地山
かちこちの尻解かすかな冬の風呂くらら
剪定の踊り子たちの鎖骨生(な)り竹ノ子
湯たんぽの中に入りし浅き春常盤
幼子の指に枝垂れる桜かな川獺
東洋と南米の尻風光るおにかます
夕東風や鯨の像の狂気の前道草
閉ぢこめられ蝶健やかに耐へてをり道草
もうすぐじゃ未だ人が踏み入れぬ春竹ノ子
この石が好きと答える春うごくおにかます
いらっしゃいませ、お待たせしました、春でございます竹ノ子
春の泥化石もすこし話しけり虹鱒
六丁目男達のセーターが憎し竹ノ子
冬化粧アネモネ並ぶ花屋かなくらら
安住さん教えてくれた雨水です頬白
梅の花見えてなくなりし上野かな常盤
鷽の骨懐紙に隠すまことかな頬白
偉大なる象の顎骨(がくこつ)謝肉祭地山
薫(くゆ)る香一秒一秒春を待つくらら
祝いなく行先なく孕み雀おかみ
列島の累積五億人朧道草
博物館中生代の迷子かな道草
春陰や僕の俺を優しくつつめ虹鱒
乗り継ぎに失敗しては春寒し常盤
一枝梅や孤独を我に与えんと竹ノ子
ぶらんこに惑わされては切り出せずおかみ
春浅し上野の球場ちらと見る具留斗