第72回句会

2011年11月13日の句会です。
お台場(釣り・キャッチボール)
朝寒の昨日の服のまま眠る地山
晩三吉お台場に待つ常盤
キャッチボール少女鰯雲を掴もうとするおけさ
マフラーや海浜公園には光道草
新郎を眺めてばかりハゼ釣れぬ海老車
つむじ風足元おそう犬っころおけさ
小春凪目で追うばかり鱸の影川獺
連なりて摩天楼縫う渡り鳥川獺
冬の朝おはよう掃除夫レットイットビーひろし
よく見たらブス可愛いハゼの顔おけさ
熱燗のせいで冬が来てしまったひろし
そのままそのままそのままそのままーあぁ常盤
主なき浮きの赤さよ冬の雲おにかます
ハゼ潜りカニ湧き出てくる潮だまりおけさ
散歩道スタッカートの初冬かなくらら
秋麗(あきうらら)婦人頬張る卵焼き海老車
干柿や薄暮に並んで消ゆるかな呼雲
お月さんぞろ目ぞろ目や姿消すくらら
お台場に足がすくんで薬喰いおにかます
都鳥追ひて書斎の父を見ゆ道草
スモッグに乱反射する疑似餌かな道草
一昨年の年末賞与明細かひろし
ばあちゃんの誕生日にかりん煮るくらら
若人の肩越しに見る鯊の口道草
股引の尻のあたりがたれており常盤
あの人は生まれ変わるの鮟鱇にひろし
色草釣りて東京タワー笑ってゐる海老車
暮れてなほ目印のごとおでん皿道草
一月に別れる人のむいた柿地山
波に似たむかしが帰る鰡が飛ぶ呼雲
焼いも日和超特急で腹空かすくらら
時間とは鯊が釣らるる焦りかな呼雲
底知れず空にしずめる冬の蠅地山
鳥渡る夕暮れ魚は逃げる海老車
木蓮の香絶えて歩く月の下地山
秋高し次の一手は浮かばない虹鱒
四五人で集める落葉いっぱい常盤
釣り人も俯いており冬夕焼おにかます
若人ら眺むハゼ釣りのふりして海老車
珈琲と冷たい炬燵小六月川獺
立冬や魔女うろうろと花開くくらら
秋暮れて自由の女神のおっぱいよ虹鱒
昨日まで無敵の蒲団だったのひろし
鴨うかぶ海を手前にあたり待つまね
かもめ船帰りはどちらが早いかと虹鱒
ひきちぎるカニとわたしがイソメとりあいまね
大仏と呼ばれた女神小六月おにかます
新橋のジャズマンのジャケツかな常盤
はじめてのデートできっと沙魚釣らむ虹鱒
波はゆれハゼをかくまうだがしかしまね
竿の先秋の曇天集まれり虹鱒
首に汗秋の昼風吹き抜けたおけさ
酔っ払い腹に抱えたゆりかもめ川獺