第71回句会

2011年10月23日の句会です。
高田馬場「月と職業」「職業と朝」
月影の肌よこいしやもどらんといちじく
月明ハイデルベルグを解体す呼雲
月の海マラカス握りしめ眠るひろし
酔月や男の靴と池袋いちじく
秋日和電柱の影朝帰り海老車
目覚めればそれが朝なり演出家虹鱒
朝寒や無菌室出て医者の卵道草
夜勤明けてナースは肌をぬくめたし新葵
早朝の秋めく庭をデザインす道草
月を背に女を誘惑する稼業苦椒醤
自転車は月に口笛帰路滑るひろし
秋晴のプラネタリウムさようならひろし
粉飾に加担せり部長を眺む新葵
抜くならば暗月期かな親不知ひろし
居待月サイレン鳴らすじっとみる海老車
秋の声午前6時のペンキ屋稼業呼雲
サッチモが一番映える月見かな常盤
言い訳を捨てて歩いて昼の月頬白
タクシーの会話フィリピンでの良夜道草
叶わねば月見て事切れるもよし苦椒醤
琴の師と無月の下に待ち合わす虹鱒
豚骨が砕かれし音今朝の秋新葵
月が泣くウェイトレスが余りおる呼雲
頼もしき西郷どんの玉袋常盤
「秋の食べ物」で「美味しい句」「形のいい句」
朝寒し湯気たつおこわつやめきて海老車
炊き込むと秋って気がするおひつかな苦椒醤
二しゃぶして目に沁む食べごろおにくかな新葵
夜着となり私は茄子の揚げびたし道草
秋の子の胎盤くにゅくにゅして生まる虹鱒
じいちゃんにありがとぎゅっと栗ごはんくらら
甘栗や妻の歯形を見つけたり呼雲
未だ食わぬ松茸想像力よ勝て新葵
飲み干したる麦酒鰯雲浮かぶ海老車
松茸や鼻から抜けるシャバダバダくらら
塩の香に甘いにおいの栗御飯常盤
塩ぱらり揚げたて舞茸つまみ食い頬白
新米や奥歯が思い出している虹鱒
きのこピザ宴を終へて酒の当(あ)て道草
秋澄むや麻婆丼にレンゲを添へ道草
麗人の喰らう秋刀魚の肝苦し呼雲
秋鮭にごま白髪葱出汁かけて頬白
ほどばしる肝は鵝鳥の秋気かな呼雲
とっくりのくびれに新しき酒うるむ虹鱒
あんこぬききなこおはぎを探す旅ひろし
柿くへば句を作ろうかな正岡式ひろし
真夜中の熟柿十指を吸ひ回す道草
芋洗いほっぺは赤しほくほくしいちじく
風邪持ちの舌にも松茸で在りたいいちじく