第70回句会
稲妻のごとき走塁三塁打 | 常盤 |
鳥渡るゲームは二死のハイライト | 道草 |
颱風の下いらぬこと白状す | おにかます |
より高くよ黒くあれ秋の波 | おにかます |
ファン去りし球場うめる秋の声 | 常盤 |
秋興や一番乗りで寝むりおり | 常盤 |
秋彼岸真っ二つにすホームラン | おにかます |
敗戦の投手ベンチで秋思かな | 常盤 |
埼玉のような顔して昼の虫 | おにかます |
楽園にみたのはただの肉とキス | 翠柑 |
父老いて酔いどれ伏せる菊枕 | 海老車 |
原発を忘れ色なき風の中 | 道草 |
子らかける婆さん叱る彼岸花 | 頬白 |
米まいて水をまいて手を合わせ | 頬白 |
秋の蝶妊婦や腹に手を留めて | 道草 |
振り向かば風不意に止む糸瓜かな | 道草 |
蜩にチャイム混じりて子ら帰る | 海老車 |
満月に呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん | 虹鱒 |
赤青黄ならべたみやげに秋の風 | 椿 |
秋の夜迫り出す腹と下弦かな | くらら |
おっとせい重心傾く天の川 | 虹鱒 |
レオライナー女車掌の夜は長い | 虹鱒 |
親指のすこし伸びたる九月尽 | 虹鱒 |
がちやがちやや敗戦投手の背の輪舞(ロンド) | 道草 |
秋天や敵はノーアウト一三塁 | 新葵 |
こほろぎを蹴散らしてゆくグラブ手に | 海老車 |
秋風や敗れては去る野球人 | 虹鱒 |
この時期に咲いてみせます彼岸花 | くらら |
爽やかに寝むりはさらに深くなり | 常盤 |
秋の陽にきらめく八回裏の旗 | 新葵 |
火をつけた疎ら線香墓まいり | 頬白 |
梨の汁拭(ぬぐ)いてめくる日記帳 | 海老車 |
ブルペンを発つリリーフの爽気かな | 新葵 |
デーゲーム疲れ目に沁む鰯雲 | 海老車 |
たまにはねぐずりたいのよタイフーン | くらら |
西武ドーム