第68回句会

2011年7月31日の句会です。
府中競馬場
午前二時目を背(そむ)けたさ青無花果頬白
海底(うみぞこ)であおぎ見ゆるは海月(くらげ)かな卍鰻
夏休なんとなく生きては疲れる虹鱒
蓮の根の沈む枕に転寝し海老車
枇杷食えば鐘は鳴るのか法隆寺草冠
読物がまぶしくなって西日かな常盤
夏枯れて寝転び仰ぐ雲の峰海老車
悪夢からすがる冷蔵庫の光新葵
痩せ猫や油蝉飽くひと欠伸海老車
ベースライン脳内関門突破せりくらら
団扇置く句会場稍重になりおにかます
翁失す扇子の話ばかりなり秦葵
競馬場ターフの空や夏燕道草
思い出をひろげてたたむ古浴衣頬白
向日葵の顔に体調管理を問う道草
サンダルの音高々と当り馬券常盤
勝負師の乗り込む電車石榴咲く虹鱒
馬よ馬わたしより夏を駆けるな虹鱒
夏草やジョッキーの名を叫びおり常盤
ギャロップ止んでなおざり薔薇園も日暮れ新葵
黒光り水馬(あめんぼ)ハンター彼の父頬白
氷雨降る傘を投げ捨て飛び跳ねる頬白
雲の峰オッズとお札握りしめおにかます
馬の尻覗いては飛ぶ夏燕虹鱒
そそっかしい娘の爪を赤く塗りおにかます
チンピラの口ずさむかな流れ星くらら
噴水の上がらぬ噴水口の黙(もだ)道草
府中発乗客六割丸裸新葵
ダービーや丸まる背中越しの空海老車
ゆっくりと歩けば気づく百日紅常盤
背から湯気デンジャラスな暑さかなくらら
首傾ぐ立葵を後ろ手に海老車
滝壺のごとく駆けたる競走馬道草
こんな日に一丁前に蝉の鳴くくらら
夏終わるオケラ街道上着捨ておにかます