第67回句会

2011年6月26日の句会です。国立「奏」にて。
鐘鳴らし熊の背を見て逃げ戻る蚕豆
金魚の目かもめ〜るの里ごころ歌の葉
ベランダの日陰に低く雪の下白楓
夏服の若者俯き猫背なるかも介介
推敲を忘れし頃の山帰来くらら
登山道命在りしことを知る竹の子
なめくじや一ミリずつ歩み寄り竹の子
悩むのは稚鮎(ちあゆ)を揚げて食べてから竹の子
妻出でて白湯呑んでいる梅雨の入虹鱒
焼きトマトたまごでとじて召しあがれ頬白
振り向けば赤き紫陽花ばかりの夜道草
汚れた口(くち)ラベンダーソフト笑う君頬白
腹痛や汗血たぎる狂奏曲歌葉
方言に力みなぎる暑さかな常盤
アパパネに見惚れた頃の青葉かな常盤
夏至の日のバー一人飲む納得虹鱒
陽に当たることのなきサングラスたちおにかます
シャカシャカと奏でる快音髪洗う頬白
お日様にしゃんと敬礼燕子花くらら
クールビスもシャワー浴びたし正午前まみねこ
ごきげんよう我が領空の小さき蛾道草
弟が送金してくれた麦茶飲む歌葉
真っ青なシャツに匿う黄金虫おにかます
アスファルト鮮やかに咲くパラソルかなまみねこ
メチュ(ビール)チュセヨ、リズムチュセヨ、123竹の子
三杯を境に麦酒のごとき何?道草
夏の夜あなたはなにもわるくない介介
奏(そう)弾み楽し懐し同窓会まみねこ
スタジオで奏でておるは雷様(ライサマ)だ常盤
破れ傘見送る背中始まる朝頬白
嬌声も喰い尽くさんと燕の子螺子丸
隣人の声睦まじく汗拭うおにかます
奏句会雨のかおりは地下にまで白楓
昼の間に金魚が奏の字に泳ぐ螺子丸
桜桃や双子も踊る陽の祭り白楓
奏春賦頬なぜる風いつもの店へ介介
子の口は赤く尖りて人も燕も螺子丸
枇杷をむく義母と義祖母とあいづちと白楓
草いきれ奏でる波は真夜中に新葵
網戸経た向こうは夏になりにけり螺子丸
鳴き声の美しきかな初夏の蜩蚕豆
哀しみは奏でるものよさくらんぼ虹鱒
まぶしい陽摘む楽しみや青トマトまみねこ
雨粒が町の輪郭奏でおりおにかます
照れ笑い鏡越しに目合うサングラス顔まみねこ
さやえんどう茹ですぎている他人の妻虹鱒
万緑の中を切り裂くポニーテール螺子丸
木立を縫いサマードレスの幼き母道草
休憩は木耳(きくらげ)みたいに寝りおり常盤
生焼けの一本道を夏の終わりに介介
夏の風部屋に結びて寝に入る常盤
おつむからきのこ伸びるの梅雨かなくらら
水芭蕉人も好むが熊も好む蚕豆
来る来ない何輪ちぎるマーガレット頬白
皿割れてさらわれている梅雨曇虹鱒
梅雨曇りカーテンを開け一角獣道草
入間愛固く誓いし暑気中(あた)りおにかます
風も無き丑三つ畳に蜘蛛跳ねる新葵
金玉に似たさくらんぼ集めおり白楓
本好きの香典談義や桜桃忌歌葉
ダリヤ咲くいじめられっ子見つめてる新葵
なめくじの殻がなくて泣いた路歌葉
ひそやかな記念日虹に祝われる新葵
熱帯夜薫る発酵した孤独介介
床入りや香水ひとさじププッピドゥ竹の子
熊を見て無傷であるから尾瀬また行く土竜