第59回句会
| 「秋蝶の驚きやすきつばさかな」原石鼎 | |
| つばさよつばさ教えてたもれ秋の空 | 虹鱒 |
| 馬肥えて良き名をたもる六本木 | 道草 |
| 痩せた手の祖母に撫でられ馬肥ゆる | 竹の子 |
| 長月や頬撫でられし宵のこと | 新葵 |
| 長月や手・足伸びゆく夢与ふ | 竹の子 |
| 手足伸び首も伸びたか冬支度 | 道草 |
| 首筋を狙うアイツは秋の蜂 | 竹の子 |
| 盗聴が野分でふいにアイツのせい | 道草 |
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| 「うつくしや鰯の肌の濃さ淡さ」小島政二郎 | |
| 握られて何処にも行けぬレモンの肌 | 道草 |
| 桃色の汗が滴るレモンの肌 | 竹の子 |
| 桃色の中年は無し木の実雨 | 道草 |
| 絵本を開きただ眺めたし木の実雨 | 虹鱒 |
| 鶴来る足痒さうに絵本から | 道草 |
| 顔(かんばせ)に籾の掠める痒みかな | 真田虫 |
| 女共籾殻でいざ涙をぬぐへ | 竹の子 |
| 女共冬支度の間に男共 | 新葵 |
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| 「葡萄食ふ一語一語の如くにて」中村草田男 | |
| 我骨が一語一語になりし秋日 | 竹の子 |
| 秋日の歩道に片方紳士靴 | 新葵 |
| 片方は俳句の頭で恋に落つ | 虹鱒 |
| 赤とんぼ肩へ止ればさて、一句 | 竹の子 |
| あしたまた、またあした赤とんぼ追いかける | 虹鱒 |
| せいかつや追いつ追われつ暮れの秋 | 新葵 |
| 生活を爪先立ちに阿波踊 | 道草 |
| なんにもないわたしには阿波踊があり | 虹鱒 |
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| 「鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな」室生犀星 | |
| 干柿の骨までしゃぶる母来たり | 新葵 |
| 干柿のない軒先は今年から | 虹鱒 |
| 駄々こねる童子に突っ込むは干柿 | 竹の子 |
| 駄菓子屋に娘どんぐり握りしめ | 虹鱒 |
| 勇んで今夜どんぐりの穴に入る | 新葵 |
| 今宵の穴に入らるる烏瓜 | 虹鱒 |
| からすうり一つ恋など要らんかと | 竹の子 |
| 一つ恋一つの別れ秋の川 | 道草 |
角筈地域センターで俳句リレー。
俳句リレーとは前の句のどこか言葉を取って作句する、言葉を繋いでいく試みです。 鍵括弧の句はスタートの句です。