第58回句会
キャンバスの白さにはせる夢の色 | 頬白 |
残菊や自問自答の古書を買う | 道草 |
神保町褐色の棚で寝待月 | 椿丸 |
ミロンガの椅子に腰かけ君を待つ | 頬白 |
秋の空マンモス高しギリシャかな | おにかます |
二百円値引きの下で笑う美少女 | 椿丸 |
新米の行く日曜の神保町 | おにかます |
蝦夷の朝ストーブ炊いた九月かな | 歌葉 |
仲秋の月を讃えて大合唱 | 歌葉 |
編図(あみず)見て思い巡らす未来の子 | まみねこ |
天高し本の都に登りおり | 真田虫 |
静脈をうかす純喫茶芙蓉 | 虹鱒 |
本棚に店主も並びし秋の昼 | ひろし |
古書に住む虫はらわれて瀕死なり | 新葵 |
蟋蟀や喜劇役者の瞬きに | 道草 |
泥棒が舌打ちしてらそぞろ寒 | 常盤 |
散歩中冷蔵庫の梨腐りけり | ひろし |
栗ひろう幼なじみの大男 | 虹鱒 |
人肌の記憶あたらし秋の海 | 椿丸 |
秋澄みて書ひらく未来の君として | 新葵 |
夕闇や文字無き民の唄響く | 新葵 |
水澄みて神父は夜を叫びをり | 道草 |
白墨の矢印追って秋高し | 虹鱒 |
長き夜のひとり秋のファッションウィーク | 苦椒醤 |
ポテイトの食べすぎ悪魔の穴まどひ | 苦椒醤 |
小さな事故誰も気付かぬ秋の空 | 道草 |
走る子ら健気(けなげ)と思う秋の空 | まみねこ |
アイドルの時の花咲く神保町 | 頬白 |
悪人のおかわりを待つ栗おこは | 常盤 |
十戒を犯して君の本売れん | 真田虫 |
新涼や古書店街のささやきに | 虹鱒 |
魁皇がくしゃみして秋に入る | 歌葉 |
陽陰って後れ蚊の待つ書棚かな | 新葵 |
歩くたび沈むポッケのふかし芋 | おにかます |
オメガからアルファの田亀今日の秋 | 真田虫 |
空高しそんなある日にI was born | 椿丸 |
ひそやかに猥本ひらく虫が鳴く | 苦椒醤 |
考えることもなかった天高し | 常盤 |
ふと気づく涼やかな風鰯雲 | まみねこ |
昨日より風を集めて九月尽 | 真田虫 |
桃高く高く掲げよセルバンデス | 苦椒醤 |
おにぎりをがしがし食べて夜学生 | 常盤 |
古書の街カリーのじゃがいも加湿せり | ひろし |
街宣車何を問うのか神保町 | まみねこ |
石膏(せっこう)の首にスカーフ秋麗 | おにかます |
搾取され男の立つ瀬守る夜 | 頬白 |
神保町・神田で古書散策。