第43回句会

2009年6月21日の句会です。荻窪席題「薀蓄・ハンモック」
男どもそんなに好きか薀蓄が柿本
浮浪者が食べる公園鳩が居るひろし
ハンモック極彩色の楽園か柿本
老いし母選びし不味い柏餅ひろし
ハンモック木陰の合間うつろいて柿本
楊貴妃の天花粉もて音なき夜虹鱒
鼻歌やトマトは口にはじけおり新葵
うんうんうん顎が痩せゆくうんちくや竹ノ子
夜蜘蛛や姿勢伸ばして見おろせり新葵
実梅の香かきわけかきわけそこに座す翠柑
空に浮き母の声するハンモック柿本
うんちくをたれる我が家に守宮(やもり)満つ虹鱒
出不精や日傘で庇う柔な肌歌葉
雲母虫食むページだけ書き写す真田虫
ハンモック揺れてサッチモ吹く人ぞ常盤
電柱と唄い回らば夕凪ぐの常盤
ゆれる青田水は流れ昼過ぎる翠柑
薫る風頬くすぐるやハンモックいちじく
夏闇や止むに止まれぬズル休みおにかます
うんうんとうんちくうなる厠(かわや)かな白楓
うんちくにららりりるれれ縄梯子常盤
蟇(ひきがえる)朝靄かかり降臨す歌葉
うんちくを語るアタマにコガネムシいちじく
波の音とほくに聴いてゐる海月道草
うすものをあはせてねむる梅雨晴間翠柑
避雷針直撃アパートでの情事ひろし
屁理屈を並べてメロンねだる父おにかます
冷麦の出番や多し低カロリー歌葉
紫陽花を潰して逃げよ雨女呼雲
ハンモックよい夢みるや七変化いちじく
ふつつかな前歯がトマトを求めてる道草
夏至の日の空から落ちてきた男道草
船乗りはいつもゆらゆらハンモック白楓
紫陽花のぼってりと咲き逃げ切れぬ虹鱒
抜け出して葉の音虫の音ハンモック新葵
炭酸の空き缶並べ夏を待ちおにかます
炎帝や1DKまで持ち帰る呼雲
なめくじとおとこにしおかけへいわきた竹ノ子
角刈や懐にある桜鱒常盤
薔薇の香が汗と混じって人になる木の香
父の日もうんちくスるりと流れけり翠柑
パチパチとまぶしき光ソーダ水竹ノ子
誕生日さくらんぼうの便り来て白楓
楽園にハンモックの木見つからず真田虫
裏山に仕舞いそびれたハンモックおにかます
夕立や蘊蓄講は中盤に道草
洗面台黒黴(かび)の夢は夜ひらく新葵
ハンモックゆれる世界のわたしゆで卵虹鱒
長靴の赤い滴やさみだるる真田虫
へっぴり腰乗ってやるぞとハンモック歌葉
蘊蓄を語らう顔の鮮やかさ柿本
汗ばみしハンモックの先人妻や呼雲
蘊蓄の黴削ぐ裸婦の白き肌真田虫
黴雨来てキッチンの中騒しい木の香
ハンモック見つけて森の木々光る道草
白団扇いらっしゃいようんちくはいいから新葵
はひふへほビールとワインを零しあう呼雲
蘊蓄を持てば持つ程間抜け顔木の香
短夜もアキレス腱を伸ばしたり常盤
雨もまたあんさんぶるの響きかな白楓
たんぽぽのわたなんとなく核反対ひろし
解き放て助けた毛虫の毛をむしる竹ノ子
むせぶ雨香水壜の蓋なくす虹鱒
ハンモック今朝は誰(たれ)夢揺らせけり竹ノ子
ハンモック支える重みの星の数白楓
蘊蓄を垂れさせまいと通り雨おにかます
夏至が来たキャンドルナイトにエコキュート翠柑
自信気な野々村真の金ヒトシ歌葉
梅雨染みて漸く消える無重力ひろし
紫陽花や潅木の詩に添えられて真田虫
ハンモック網の間から観る夢木の香
ぶたれたらぶち返す程蚊の多し木の香