第38回句会
初鶏のめでたい声も鍋の中 | 土竜 |
除夜の鐘今年は聞けぬ遠い地で | 蚕豆 |
ためいきもかがやくのである厳冬 | 虹鱒 |
寒肥(かんごえ)よモチ喰う女の捨てゼリフ | 竹の子 |
焼鳥のうまいまずいはタレしだい | おしるこ |
ぐきぐきと腕折れるかな木瓜の枝 | くらら |
るるるるる笑い結ぶや初句会 | くらら |
母さんのむすび食いたきさむさかな | 新葵 |
結束の葱と一緒にごあいさつ | 道草 |
今日もまだ鏡餠は飛ばない | 虹鱒 |
寒夜釣(かんよづり)てらてらゆらぐ月の川 | ちゃんちゃんこ |
徹夜にて忘れ去られし初夢や | 夢喰 |
幼き日呼び戻したるかるたかな | 夢喰 |
コンディション句会始に合わせけり | 道草 |
靴紐を直す樹の上実を結び | 土竜 |
阿佐ヶ谷でおNEWなメガネで歌留多する | ちゃんちゃんこ |
寒空や宇宙の色の深い青 | ちゃんちゃんこ |
初詣おみくじ通り結ばれたい。 | ちゃんちゃんこ |
僕の番カルタの前の座席とり | いちじく |
ひっかかるひっかかるまいとお手をつく | 常盤 |
末の子の黒髪結えば成人式 | いちじく |
新年の予定取り合うかるたかな | 土竜 |
たいくつなかるたの読み手乳を揉む | 虹鱒 |
もちつきやこねる仕草がお気に入り | 真田虫 |
座布団のはずむ拍子に年きたる | おにかます |
我先に奪い合ってと歌留多こう | おにかます |
冬将軍鼻血をたらす武蔵野に | 常盤 |
占いと蜜柑の結ぶ悪巧み | おにかます |
カルタしてワイワイ楽しくカタルシス | 竹の子 |
頂で七島並べて福笑い | 土竜 |
初対面かるたで和む場の空気 | 蚕豆 |
ハナタレの寝床で育つ寒鴉 | 真田虫 |
初スキーボーゲンできず直格降 | おしるこ |
しもやけの祖父や握るは左ハンドル | いちじく |
日脚伸ぶ電信工の影ふたつ | 常盤 |
しんしんと空の机ら初仕事 | おにかます |
初場所の憎き横綱華が有り | 夢喰 |
明けの春ひとの名字を誉めにけり | 新葵 |
初釜や腹の中まで緑なり | くらら |
髪結ぶその都度髪が抜け落ちる | おしるこ |
われひとり居残り正月外は晴れ | 新葵 |
量子論話のむすびくさめする | 虹鱒 |
カルタとり反射神経試される | おしるこ |
福引やきつく結すんだくつのひも | 常盤 |
霜焼の母と娘の結びつき | 竹の子 |
振袖の女子か女か成人の日 | 竹の子 |
新しき問いパレスチナ動けば寒 | 道草 |
札狙うぎょろり眼やかるた取り | くらら |
我が願い実を結ばんと初詣 | 夢喰 |
お年賀の結びはいつもこの面子 | 真田虫 |
窓開けるかるたは体育競技なり | 新葵 |
手袋を編みかけたまま春近く | 蚕豆 |
不景気を横目に初富士新幹線 | いちじく |
歌留多取りただちに叩く用意あり | 真田虫 |
声上げて空飛ぶ俳句歌留多かな | 道草 |
阿佐ヶ谷にて。席題「かるた」「むすぶ」