俳句披講 ― 第30回の句会で詠んだ句です。 ―


第30回句会
2008年5月18日。小石川植物園散策に行きました。
| アヤメにもさびしい刻(とき)の訪れる | 虹鱒 |
| 似合うだろ木の下闇に鴉居り | 苦椒醤 |
| 枝たれて子供と握手若かえで | 漁 |
| 小満(しょうまん)やかかえし我が子の裾短し | 雪犬 |
| 酒ぐっとバイブレーション初鰹 | 白楓 |
| 曇天やじわじわ迫る五月病 | くらら |
| アマリリスパーマネントの女主人 | 虹鱒 |
| はだしの子ラージサイズの木でうとうと | 道草 |
| 背も縮んだ隊長の声小石川 | 常盤 |
| 桜の実ならべてかぞえ帰り道 | 雪犬 |
| あっ危ない猫の瞳に映る鳥 | 蚕豆 |
| あの世でも黄菖蒲を水の辺に | 道草 |
| 葉桜の下で教えを祖父に乞う | 雪犬 |
| ぼうたんや散れどもベンチを飾るなり | 漁 |
| 青空にランチ広げる夏野かな | 藻杏 |
| 青梅や赤ひげの駆け抜けており | 道草 |
| ボサノバ的なことになったよ夏浅し | 常盤 |
| クスノキや上着をはおる涼しさよ | 常盤 |
| クスノキの根本で祈ることもなし | 常盤 |
| 遠目には白点々と夏岬 | 藻杏 |
| そばサラダ新玉ねぎをたぐる宵 | 白楓 |
| まんさくの茂りに時無し光と影 | 苦椒醤 |
| 木の周り父子が回り五月晴 | くらら |
| 草臥(くたび)れてアカシアの花つまみゆく | 白楓 |
| 今年度新緑大賞すずかけの木 | 苦椒醤 |
| グリーンスリーブス奏でし五月小石川 | 苦椒醤 |
| クスノキの象より太く若葉風 | 虹鱒 |
| 夏木立どこかで聞こえるもういいよ | 漁 |
| ジャスミンや香高けれど色儚き | 苦椒醤 |
| 馬鈴薯の芽は入り組むやだんぼうる | 白楓 |
| 万作(まんさく)やリンボーダンスでくぐり抜け | くらら |
| ジャスミンの香は目印に角曲る | 虹鱒 |
| 木下闇ひとつのベンチコカコーラ | 虹鱒 |
| 木漏れ日に太陽さがすかくれんぼ | 蚕豆 |
| 草いきれ半袖恋しこの暑さ | 蚕豆 |
| 田植えれば従うままの右習え | 藻杏 |
| 羽とどめ水に映せば風薫る | 藻杏 |
| 玄関の百合首長く主待つ | 蚕豆 |
| おおい木よ見上げるだけですがすがしい | 蚕豆 |
| 青嵐全開だもんこのこころ | くらら |
| 迷い道知らぬ袖引く五月闇 | 雪犬 |
| 新緑や鼻歌誘うふふふのふ | くらら |
| 大南風(はえ)にヤングなノリをたずねけり | 常盤 |
| 味噌汁の湯気にかかるは朝曇 | 雪犬 |
| 夏蝶や大樹の袂(たもと)ひらりひらり | 道草 |
| 菖蒲園まだ咲かぬかと待つ貴婦人 | 漁 |
| 山うどや甘し甘しと白き筋 | 白楓 |
| 日の光あまさず抱け青芭蕉 | 漁 |
| 見上げれば緑私の耳たぶも | 道草 |
特選は白楓さんの「草臥れて」の句です。
準特選は道草さんの「見上げれば」の句です。

散策は楽しいですよー。

