俳句披講 ― 第29回の句会で詠んだ句です。 ―


第29回句会
2008年4月27日。高田馬場を散策。新江戸川公園に行きました。
| 花の中声くぐもって俄雨(にわかあめ) | 左右 |
| のびるとはよくわからねが旬菜か | 草冠 |
| 躑躅にも一人ぼっちがあれば好き | 道草 |
| 初蝶や煙草の影を食いて舞ひ | 左右 |
| 気がつけば世界は菫であふれてる | 苦椒醤 |
| 駅までは遠く花びら散りにけり | 虹鱒 |
| 白濁のお湯からぽかりと島ふたつ | まね |
| 杜鵑花(つつはな)の切実に身を重ねおり | 新葵 |
| 情多き身に実はならず面影草 | 苦椒醤 |
| 君は誰名も知らぬ花西早稲田 | 漁 |
| こでまりの花に生れて揺れても良い | 道草 |
| ぽりばけついっぱいぶんのさくらかな | 常盤 |
| 兄は家に蕊ふるなかをくぐりたる | 虹鱒 |
| うららかや首長竜と日曜日 | おにかます |
| 感嘆す目に入(い)る花に感嘆す | 草冠 |
| まだ虫が透けて見えるや藤の花 | 常盤 |
| 熊蜂の尻黒し都電奥まる | 虹鱒 |
| 風光り木々と影躍る暮れるまで | 漁 |
| あいさつもそこそこに立つ種おろし | 常盤 |
| 土を踏む竹の子堀に行きたいなり | 草冠 |
| 杉の花粉にくまれませう子のために | いちじく |
| おちゃらかにあちゃらかほいな蠅生る | 虹鱒 |
| 盛りすぎ猫とおはなし桜の木 | まね |
| のどけさを根こそぎ連れし巨大亀 | おにかます |
| この夜の秘密吸い込む白木蓮 | まね |
| 八重桜レースにつつまれし鳩胸 | 苦椒醤 |
| 藤垂れの日陰や主毛繕い | おにかます |
| 日を受けて赤の吹き出すつつじかな | くらら |
| 空腹も白髭(ひげ)も黙りし春の風邪 | くらら |
| 光より降りて藤棚青冷めし | 白楓 |
| ハナミズキ女となりて夢の告げ | 白楓 |
| 上厠(じょうし)して坂の囀り仰ぎけり | 左右 |
| ある午後に我とたんぽぽ屹立す | 苦椒醤 |
| 陽をうけて若葉のまばたきつやつやり | まね |
| さくら舞いもろびとうたう井の頭 | 漁 |
| 八重桜重みの余り花落とす | 草冠 |
| ふきのとう冷蔵庫にてとうがたつ | 草冠 |
| 春の夢目覚ましベルすら鳥の声 | いちじく |
| 春惜しむ早稲田通りのハンバーガー | 漁 |
| そよそよと柵から手伸ばす小粉団(こでまり)よ | くらら |
| ヒナゲシや蝶の不貞寝を導けり | 左右 |
| 形なき祈り見居える春光や | 左右 |
| 散歩亀老いも歩めばかぞえうた | 白楓 |
| 神田川せせらぐ忘れ桜かな | おにかます |
| 生えました背より高いバドミントン | まね |
| 旅人を迎えや送る千年の桜 | いちじく |
| 春木漏れ日鳥歌う空水の音 | 漁 |
| 春の昼這ってでも咲く君子蘭 | おにかます |
| 蟻穴を出でてわたしのパンに会う | 虹鱒 |
| たんぽぽのことには触れず笑いけり | 道草 |
| つばくろの翻るかな立小便 | 道草 |
| 農業道ぶうんと聴こえば働き蜂 | いちじく |
| 畦塗りし祖父の見ぬ隙うずめる指 | いちじく |
| 重力の所為ではあらぬ飛花落花 | 道草 |
| 小粉団(こでまり)の大の字になるあくびかな | くらら |
| 鳴きもせずひたすらに亀前進す | 苦椒醤 |
| 見上げれば悲喜こもごもの桜かな | くらら |
| 今の顔未来の顔も春笑え | 常盤 |
| 図鑑ひき君の名君の名ミヨソティス | 常盤 |
| 春霞悪人たちに朝来たり | 新葵 |
| 宵の咲く菜花を添えし天婦羅よ | 白楓 |
| 面影や花はあおばの神田川 | 白楓 |
さてさて、この日は久し振りにきてくれたくららさんが特選をかっさらっていきました。 そんなくららさんが撮った写真を見て、もう一度上の句を見るとまた違った印象になるかもしれませんね。

わたくしおにかますは、上の亀を見て「今日、亀の句を詠まにゃ一生後悔する!」と思ったものです。 もっと上手く詠めたのではないかとどのみち後悔してるんですけどね。

上は蒙昧の面々、散策の図です。都電を眺めているのでしょうか。のんびりしてます。
