俳句披講 ― 第25回の句会で詠んだ句です。節分です。 ―


第25回句会
2008年2月3日の句会です。節分です。雪でした。
| 空風待つ人探る手の行方 | いちじく |
| 百万戸一千万人雪の中 | 常盤 |
| 雪折れの小枝がぶらり通せんぼ | いちじく |
| 節分やまだえり高し鬼子母神 | 常盤 |
| 雪遊び童の眼に何映る | 漁 |
| 寒鴉偉人の墓を選びけり | 虹鱒 |
| 枯れ園やただ粛々と時知らず | 漁 |
| 雪の降る今日サンシャインは雲の上 | 新葵 |
| 牡鹿のその先にある恵方かな | 虹鱒 |
| ぴちゃんとしゃん屋根すべり雪飛び跳ねる | いちじく |
| 墓探し阻む雪折れ霙池 | おにかます |
| 手袋の蒸れた臭いに時戻る | 新葵 |
| シャベルの音意地悪婆あ絶好調 | 新葵 |
| 寒雀瞬(まばた)きのごと震ふなり | 道草 |
| 皆の向く南南東に明日の春 | 新葵 |
| 鹿睨むわたしは鬼を許さない | 新葵 |
| 漱石も鏡花も雪の下にいる | 虹鱒 |
| 覚めてなほ白の深さぞ冬未だ | 藻杏 |
| 兎道残像追いて転げる子 | 真田虫 |
| 濡れ冬木竜となりて杜守る | 苦椒醤 |
| 九つの豆食べきれぬ節替わり | 藻杏 |
| 凍雲をハリガネ枝よぐんと突け | いちじく |
| 行列に白豆撒きて鬼子母神 | おにかます |
| 赤タオル雪の中行く雑司ヶ谷 | 常盤 |
| 文豪も首相も同じ墓冴ゆる | 道草 |
| 肩越しのけやき一撫で冬の宵 | 雪犬 |
| 黒と濡れ欅枯れても立つと云う | 真田虫 |
| 雪の日のねぎラーメンの出足かな | 道草 |
| 節分や児も老人も風も樹も | 藻杏 |
| 墓石に爪先の雪なすりつけ | おにかます |
| 雪娘ない血たぎらせ恵方狩り | おにかます |
| 雪降れり日々の一時彩りて | 漁 |
| 暖房と別れを惜しむ店先で | 漁 |
| 風雪や右斜め前より来たる | 藻杏 |
| さらわれて雪に残った足の軸 | 真田虫 |
| くつ下に小雪のまじる暗夜行 | 虹鱒 |
| ねんごろに手折りて遊ぶ寒椿 | 雪犬 |
| 寒暁に凍み凍み染みてメンソール | 苦椒醤 |
| 茨枯る遠き我家鉄条網 | 雪犬 |
| 雪まろげ潰す親爺の照れ隠し | 真田虫 |
| 豆かぞえ幼き頃より笑う節分 | 草冠 |
| サンシャイン60けむる雪たまわる | 虹鱒 |
| 恵方噛む後ろ姿のキラークイーン | 常盤 |
| 手向け花雪に汚され色男 | 苦椒醤 |
| 長靴や雪を蹴ちらしよく進む | 道草 |
| 雪女郎意中の男の足を踏む | 苦椒醤 |
| 頬杖をつきし八雲の冬の墓 | 雪犬 |
| 鬼子母の子クリアファイルで雪を掻く | 真田虫 |
| 寒鴉一鳴き帰るビルの群れ | 雪犬 |
| 冬の靄ビルの頂いずこへと | 漁 |
| 高く行く隼戻ることはなく | 藻杏 |
| 小雪やみ濡れし靴下帰路遠し | おにかます |
| 本年は賄賂で許せ鬼は外 | 苦椒醤 |
| 高層ビル冬霧の日のかくれんぼ | いちじく |
| 雪ぐつをぬいだ体の軽いこと | 常盤 |
| 除雪夫のもみあげ厚きまま残る | 道草 |
