第23回句会

2007年最後の句会。この日のは上野アメ横で吟行しました。
高架下暮れの横丁に海いづる草冠
特選街年惜しみつつ豆を積む虹鱒
靴底に音立てて散る霜の花藻杏
年忘西郷眺め海鮮丼おにかます
僕の背中と気持ちを包む冬の霧藻杏
寒風やスカジャンさらにスカジャンに虹鱒
上野駅新旧異国入り交じらぬおにかます
いとおしく子の水洟を寄りて吸う藻杏
アメ横に写る景色は冬構青緑
マフラーに鈴の音が横風通る草冠
冬日向孫の手をひく徒然におにかます
着ぶくれを推奨したる上野かな道草
鮨詰めの露店を抜けて年惜しむ道草
チンチロリン冬の朝焼けまだ遠く常盤
惜年の情をたずさえアメ横参り青緑
木枯しと共に参るはアメヤ横丁青緑
ほんとうはマントを着たかった西郷新葵
小包は北風をまだ纏(まと)いおり新葵
ぐんじょうのそらきたかぜとしろいくも常盤
銀杏落葉やさしくつもる上野かな 道草
犬と人仲良く見える上野かな道草
星冴えてしんと耳打つ君の声藻杏
アメ横に鮪投げ売る友のあり道草
十二月人波泳ぐ右往左往草冠
左鮭右に妻の手握りしめおにかます
西郷と待ち合わせする冬男虹鱒
炬燵待つ封したままのみかん箱虹鱒
将軍の凍る掌(て)下着にまで伸びて新葵
裏路地や白い酒のむ毛布かな常盤
侘びしさは捨ててぞ鷹の空越える藻杏
もういくつ寝ると前厄枯木立新葵
黒人も師走の革を試しおり虹鱒
凍空(いてぞら)に十万馬力の発車ベル新葵
年の市あいさつ代わりに肩ぶつけおにかます
カニの殻うず高くなる師走かな常盤
冬の町白バラそっと耳赤し常盤
かじかむ手喫茶探して暮れるまち草冠
聚楽のうえ西郷どんのおうちなり青緑
売り子の咳アメ横の活気にこだまする青緑