俳句披講 ― 第19回の句会、台東区谷中で詠んだ句です。 ―


第19回句会
2007年9月24日の句会です。谷中で吟行しました。
| 腹深しあれもこれもと秋の昼 | おにかます |
| 賑わいに蔦茂る墓じっと居り | 新葵 |
| 双葉山のこったのこった睨めっこ | おにかます |
| 役立たず寝惚けし秋の扇風機 | 白楓 |
| 異次元より蟲鳴き呼ばう我が寝床 | 苦椒醤 |
| 秋の暮彫塑の奥に佇めり | 虹鱒 |
| 風もなき墓にゆらめく曼殊沙華 | 真田虫 |
| 墓洗う婆の拙きひとりごと | 道草 |
| 裸婦像と営む日々や秋の暮 | 道草 |
| 飽きがきてなお新しきわが暮らし | 白楓 |
| 毒きのこ毒らしく生え森の赤 | 新葵 |
| 暴れ蚊の柱あり皆兄弟か | 新葵 |
| 青と白陣地取りする秋の空 | まね |
| 曼殊沙華郵便ポストと背くらべ | 道草 |
| 西日暮里猫と子供と数遊び | 真田虫 |
| 秋の蚊の遠回りして俺を刺す | 道草 |
| 秋の花名付けてまわる墓参り | おにかます |
| 秋夕焼ハモニカすぐに上手くなり | 虹鱒 |
| 歌止みて過ぎてぞ虚し秋の蝉 | 藻杏 |
| こんなにも広い空埋める秋のくも | まね |
| ひぐらしやその日暮らしの影に染む | 白楓 |
| 塔婆薙ぎ野分雲いま谷中たつ | 虹鱒 |
| 蝉知らぬ次の季節に生きている | 白楓 |
| 曼殊沙華裏には墓地の行き止まり | 真田虫 |
| 秋涼ししんと賑う水屋敷 | おにかます |
| 新秋の作として落つ石榴かな | 虹鱒 |
| 幼子の指にはじかれ鳳仙花 | 新葵 |
| 水澄みて釣竿しこむ長廊下 | 常盤 |
| 君を噛む歯で無花果を割るように | 道草 |
| 目をとじてあけた頃には秋の闇 | 常盤 |
| 秋の昼音の隙間の音聞こゆ | 真田虫 |
| 貧すれば鋭と奏でしきりぎりす | 白楓 |
| 秋空や富士見の名持つ坂のぼる | 真田虫 |
| カーブミラー映るどこまで空と道 | まね |
| 黒髪の絡み絡まれ女郎蜘蛛 | 苦椒醤 |
| 笑みこぼるしりの重さが身に入みて | 常盤 |
| 秋曇ぬけた音だすハーモニカ | 常盤 |
| 新涼や錻力の店の外囲う | 虹鱒 |
| 大盛が食卓うめる秋渇 | 常盤 |
| 年寄りが年寄り叱る秋の声 | おにかます |
| 体爽気に溶け頭からにして行く | 新葵 |
