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第二部 09年4月26日の句会編

蒙昧の会は4年目に突入。4月26日の句会はその第一回目だったのですが、時間の 都合上、講評の時間が取れなかったので、ここで少しフォローしてみたいと思い ます。

句会の参加者は全部で15人、総句数66句。選は15人で行いました。
下は3点以上の句を高得点順に並べたものです。

野遊びの空を回して倒れけり       呼雲   10
木漏れ日を浴びてふくらむ親雀      おにかます9
初もののたけの子一つ玄関に       鬼笠子  8
ひなげしが揺れる心は止まる       苦椒醤  8
遠き声野原の部屋に響きをり       真田虫  7
夏近し名前も知らぬ岩を割る       虹鱒   7
パパ連休一二三四五六七僕チャンピョン  歌葉   6
寝転びの胸中春の雲ばかり        道草   6
墓石から墓石に移る猫の恋        道草   5
塔跡に春風吹いて幾世紀         新葵   5
春めきてボール蹴る先から土埃      木の香  5
天道虫目的の無き手のひらに       道草   5
倒立をくずしてぬける初夏の風      常盤   4
ぬくぬくしぬくしつくして春が好き    竹の子  4
虻の眼に刺す光だけ尖ってる       呼雲   4
少年のシュート練習綿毛飛ぶ       真田虫  4
スカートがぐるり地を踏むのどかさよ   彩豪   4
そこらへん咲き生え乱れ祝祭や      苦椒醤  3
風光る日を透かす葉に希(のぞみ)あり  新葵   3
たゆわいの無職たゆわう鼻をかむ     白楓   3
寝ころんで子のさえずりが遠く伸び    彩豪   3
欅(けやき)鳴く名水の地に春の風    新葵   3


野遊びの空を回して倒れけり  呼雲

句会後の飲み会で白楓は「倒れけり」が良い、と言っていました。私もそう思い ます。把握が大きくて、野遊びの空間の広さや気持ち良さが伝わってきた。
吟行に参加した人は「逆立ち」を思い浮かべる人もいると思うのですが、逆立ち のことをはずして読んでも十分に解釈できます。これも俳句の面白いところだと 思います。

木漏れ日を浴びてふくらむ親雀  おにかます

状況がよくわかる。親雀に焦点が合っている句だと思います。遠回りな描写がな いので、読み手に最終的な「親雀」が任されており、「写生」に優れた句だと思 いました。

初もののたけの子一つ玄関に  鬼笠子

鬼笠子の姉が昔詠んだ句だということですが、句会に紛れるとそんなことは気付 く余地がありません。玄関での素朴な交流を切り取った、これも無駄の無い良い 句だと思いました。

ひなげしが揺れる心は止まる  苦椒醤

小さな花と心の関係。主語述語主語述語となっていて一見俳句っぽくないが、言 葉の抑制がきいていて、「揺れる」に抒情が詰まっている感触があり、不思議と よく伝わる句です。

遠き声野原の部屋に響きをり  真田虫

「野原の部屋」という言い方が作者の発見。空間に対する遠近感や親近感が独特 だと思います。また、季語による限定が無いこともその独特な浮遊感を助長して いるようだ。

夏近し名前も知らぬ岩を割る  虹鱒

岩を割ったのが、普通の人、そういう仕事をする人、水、などの違いによって句 の中身が変わってくると思うが、「名前も知らぬ」というところに、自然(言語 化されないもの)への意識があり、人智や目的を漂白したような涼しさがありま す。

パパ連休一二三四五六七僕チャンピョン  歌葉

奔放な印象を与える句ですが、「パパ連休」の上五が良いと思います。この飾ら ない直截な言葉が、以下に続く音やリズムを支えていることに気付かされました 。

寝転びの胸中春の雲ばかり  道草

寝転んで空を見ている時点で春の雲を見ているような胸中だなあ、ということを 思って詠んだ句。

墓石から墓石に移る猫の恋  道草

墓地で猫を見て発想して詠んだ句。猫にはお墓なんてなんでもないわけで、それ 故、不謹慎でもなんでもない。つまり、自由だと思って詠んだ。

塔跡に春風吹いて幾世紀  新葵

「幾世紀」という言い方が良いと思った。はっきり何世紀とわかってもこの場合 意味が無く、これからも幾世紀も続くような曖昧な心地よさがこの句にはある。

春めきてボール蹴る先から土埃  木の香

「ボール蹴る先から」と回りくどく言うことによって、読み手の意識が足の先に 合っていき、「土埃」が具体的な描写となっている。映像的な句だと思いました 。

天道虫目的の無き手のひらに  道草

公園などに行くと天道虫が体に止まることが多いのだけど、嫌ではないのだけど 、こちらに用は無いのだけど、と思って詠んだ句。

倒立をくずしてぬける初夏の風  常盤

「初夏の風」が腕白な妖精のように読めて親しみやすい。四季の風には色がある ことを再認識、つまり季語はキャラクター。

ぬくぬくしぬくしつくして春が好き  竹の子

とても面白い語感。「ぬくしつくす」は素晴らしい言葉だと思う。そういう贅沢 な人間になりたい。

虻の眼に刺す光だけ尖ってる  呼雲

蜂でも蠅でもないところの虻。その眼に鋭利な光を見るのは、ドラマチックだと 思う。悪の魅力がある句。

少年のシュート練習綿毛飛ぶ  真田虫

演出ではなくて偶然なのが良い。人間と自然の関係はこのぐらいがちょうど良い と思う。

スカートがぐるり地を踏むのどかさよ  彩豪

女子の制服。本人は健康的でのどかかもしれないが、振り向かれた男子はのどか じゃないかもしれません。

そこらへん咲き生え乱れ祝祭や      苦椒醤

いいかげんな言い方が逆に親近感の表れかもしれない。地元や近所を「庭」呼ば わりするような気安さ。小さな王国。

風光る日を透かす葉に希(のぞみ)あり  新葵

希望の「希」を「のぞみ」と読ませることと、葉を日に透かす行為は似ていると 思った。希望は自ら見るものということか。

たゆわいの無職たゆわう鼻をかむ  白楓

「たゆたう」かなとも思ったが詩語として読んだ。ふやふやと抜け出てしまう甲 斐性が哀しくファニー。

寝ころんで子のさえずりが遠く伸び  彩豪

鳥の声だ。二羽いる。親子かな。あっちの声が子供かな。あ・長い。のようなこ とを寝転んでいるといちいち確認してしまう面白さがある。

欅(けやき)鳴く名水の地に春の風  新葵

葉音だろうか枝の軋む音だろうか。この欅は大きいだろうと思う。水を使う近所 の人たちと欅は仲が良いのだろうと思う。


以上、物足りないのは言わずもがなですが、3点句までを私なりに触れてみました 。後は皆さん個人で感想等交換しましょう。掲示板とかに書き込んでも良いかも ね。